G20諸宗教フォーラム2019京都

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6月11~12日

6月11~12日

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パネリスト・モデレーター紹介

ジェノウン・ディオプ 博士

Dr. Ganoune Diop

第1セッション
「グローバルコンパクト」

パネリスト

経歴

セブンスデイアドベンティスト教会世界本部総会広報・宗教的自由部長、国際宗教の自由協会事務総長、世界キリスト教連盟事務局員。

ディオプ博士は、古代近東の言語と文明に重点を置いた、聖書の釈義と神学、哲学における才能と専門知識を有しており、比較宗教学と哲学の教鞭を執っている。パリ大学で、古代近東の哲学と言語で修士号を得た後、終末論文学に焦点を当てた新約聖書の研究で博士号(Ph.D.)を取得した。その後、ソルボンヌ大学で、セム言語について研究した後、1995年、アンドリュー大学で旧約聖書の研究で博士号を取得した。

Curriculum Vitae

Public Affairs & Religious Liberty – General Conference of Seventh-day Adventists World Headquarters.

Secretary General, International Religious Liberty Association

Secretary of the Conference of General Secretaries of Christian World Communions

Dr. Diop is graced with a fascinating combination of gifts and expertise in Biblical Exegesis and Theology, Philology with an emphasis on Ancient Near East languages and civilizations. He taught Comparative World Religions and Philosophies. He earned a master’s degree in Philology at the School of Languages and Civilizations of the Ancient Near East in Paris. He earned a PhD candidacy in New Testament Studies with a focus on Apocalyptic Literature at the University of Paris. He completed postgraduate studies in Semiotics Studies and applied Linguistics at the University of Sorbonne, Paris. He graduated from Andrews University with a PhD in Old Testament Studies in 1995.

He was granted a doctorate Honoris Causa for his work in helping promote a culture of human rights grounded on human dignity.He was the 2017 recipient of the Thomas Kane Religious Freedom Award, presented at the J. Rueben Clark Law Society Annual Conference in Philadelphia.On April 29, 2019, Dr. Diop was honored with the award of excellence Ambassador for Liberty and Peace—Jean Nussbaum & Eleanor Roosevelt.

Dr. Diop extensively works to foster mutual understanding between Christian faith traditions and other world religions and philosophies. He regularly trains leaders in capacity building in reference to peace, justice, and human rights: the pillars of the United Nations. He is the secretary of the Conference of General Secretaries of Christian World Communions, the largest Christian organization to foster peaceful interchurch relations.

Dr. Diop is the executive editor of Fides et Libertas et World Report on the Status of Religious Freedom. He is the co-founder of the annual meeting of “Faith-based Organizations in International Affairs” at the United Nations in New York. He also organizes the yearly “Meeting of Experts” focusing on academic contributions to freedom of religion or belief at the intersections of contemporary global challenges.

梗概

題:「グローバル倫理における包括的合意:生命と児童保護のための必須道徳」

国連グローバルコンパクトは持続可能で社会的責任のある政策を管理し、またそれらの実施状況を報告することを目的に、世界中での商業活動を促進する拘束力のない条約である。この条約は人権、労働、環境、腐敗防止といった4分野を扱う。周知の事実として、この国連グローバルコンパクトの10原則は世界人権宣言(Universal Declaration of Human Rights)、労働における基本的原則および権利に関するILO宣言(International Labour Organization’s Declaration on Fundamental Principles and Rights at Work)、環境と開発に関するリオ宣言(Rio Declaration on Environment and Development)、腐敗防止に関する国連条約(United Nations Convention Against Corruption)から派生している。

国連グローバルコンパクトの第1、第2原則は人権分野に関係するものである。

原則1:商業活動は国際間で宣言された人権保護を支持、尊重しなければならない。

原則2:商業活動は人権侵害に加担してはならない。

2019年は児童の権利に関する条約(Convention on the Rights of the Child)締結から30周年を迎えることを記念して、この発表では児童の人権に関連した上記の2原則に焦点を当てる。我々が歩んできた歴史を通してこの主題を扱う際に、いくつか重要な点を言及しておくべきだろう。

世界史における最も重要な条約は破滅的状況を経て採択されてきた。

1:ウェストファリア条約(1648年)は、およそ800万人の命を奪った宗教戦争後締結された。

2:ヴェルサイユ条約(1918年)は、およそ16001万人の人々を巻き込んだ第一次世界大戦の講和条約として締結された。

3:世界人権宣言(1948年)は、およそ6000万人の命を奪った第二次世界大戦の後締結された。

我々には、新たな条約、宣言、協定を提案する為の破壊的戦争は不必要である。つまり、人道主義を掲げる宗教指導者、善良な全市民が集結し対策を講じる必要がある。これは世界の全市民が、死ではなく愛を共有すべく交流また教育戦略を整備する為の緊急課題である。具体的には、下記のグローバルなライフスタイルを採択し容認することである。

1:全生命の尊重

2:世界の非暴力文化採択

3:連帯文化と正義の経済秩序

4:寛容な文化と誠実な生活管理

5:平等な権利と協力文化

6:信仰の自由の全世界文化。共通善とは複合的自由である。それは、信仰の自由、良心および選択の自由を前提とする。言い換えると、それは表現の自由、組合、集会の自由である。社会的視点から、それは暴力、危害、損害、屈辱からの解放である。つまり苦痛からの解放である。それはまた、異なった信仰を持つという理由から起こる差別、不法な扱い、迫害からの解放である。

8:平和のグローバル文化。平和への権利は、我々の口述、記述伝統の中での生命を最も重大な価値であると支持する全宗教、哲学に属する人々の提携を必要とする。生命の尊重と独創的奨励、同情と寛容性、移民、迫害された人々、難民の歓迎と厚遇、非暴力と無害、信仰、共通人類としての連帯、すべての人々の尊重、良心と愛の自由。

何故今なのか?

2017年、推定6560万人もの人々が居住地から迫害を受けた。彼らのうち約半数が児童と若者であった。移民たちの尊厳は、部族主義、自民族中心主義、民族主義、人種主義、宗教に対する不寛容(政府の制限、信仰の自由権への一般的敵対行為を含む)が広範囲に行き渡る世界の中で、ますます欠けてきている。気候を起因とする移住は、前代未聞で大規模な人々の移動を生み出す。彼らは温和な環境を求めて移住する。これは人間を物や商品として扱う最悪の形態の一つである人身売買の温床となる。臓器売買の惨事は人道に反する。これは単に尊厳の否定ではなく、他者の生命への侮辱である。

脆弱な状況下に置かれるということは、人間としての尊厳が軽視されるということでは全くない。これこそ宗教また倫理の基礎である。

もしも脆弱性が尊厳の欠乏を意味するのであれば、児童には尊厳がないということになる。この考えは、尊厳に属するものを奪った語源感覚での冒涜であろう。人間は各々宗教的で、世俗的伝統は聖なるものである。精霊の神殿という言い方がされるように。児童もまた聖なる存在である。彼らは完全な人間であるとみなされるべきである。今日では、何百万人もの児童が暴力、虐待、人身売買の標的になる末路を辿っている。この悲惨な現実は我々人類に対する無礼である。

我々の中で最も脆弱な児童たちの高潔さや尊厳が侵害され、また彼らが売買、迫害、殺害されているということは、倫理の境界線を越えている。児童に対するいかなる暴力行為を排除することに特化した決議案によると、現在推定200万人もの児童たちが今から2030年までに暴力の被害で殺害される可能性があるという。

「今日、約5000万人の児童たちが国境を超え移民している、或いは強制的に迫害されている。全地域で毎日、これらの児童は様々な人権侵害の被害者となっている。その中には、搾取、暴力、家族からの別離、移民であるといった理由からの勾留、必要不可欠な保護またサービスの不足などがある。これらの侵害は重大な人権の危機の原因となる。」

国連グローバルコンパクトは児童たちを代表して深く統合し、対策を実行する必要がある。2019年は児童の権利に関する条約(UN Convention on the Rights of the Child)締結から30周年、児童の権利宣言(Declaration of the Rights of the Child)から60周年を迎える。

全ての惨事の根本的原因は暴力の正当化である。古代社会において暴力とは、異議を唱える者に恐怖を植え付けるためのコミュニケーション手段であった。ギリシャ・ローマ世界においては、暴力は皇帝への儀式の一部であった。ある人はローマ時代の剣闘士闘争間のムネラ(munera)を、また正午処刑を考えるであろう。これらは、蛮行が皇帝の力の象徴であったということを明白に示す。暴力は現代世界では大衆による暴力を非正当化するためである。大衆はもはや公的処刑を執行できない。近年のテロリスト集団による非道な言論を除いて。

私の論文「前代未聞の大移動時代におけるグローバル倫理を考える際の宗教と必須道徳(Religions and Moral Imperatives in Global Ethics at a Time of Unprecedented Mass Mobility)」を参照されたい。

児童たちをいかなる暴力の犠牲者にしてはいけない。全ての児童には肉体的、知的、精神的、倫理的、社会的に健康な環境、また自由と尊厳のある状況で発育する機会が与えられるべきである。宗教共同体は、児童に対する暴力(特に宗教の名の下で正当化された場合)に異議を唱える倫理上の権威を持っている。グローバル共同体は児童たちを保護し、彼らへの暴力を終わらせ、彼らを平和な現実へと誘うための研究、そして行動を起こすべきである。何百万人もの児童たちが現在、様々な恐怖とトラウマを経験している。移民、人身売買、そして貧困の犠牲になった児童への保護は倫理的責任である。

この問題はG20の中心的課題になるべきである。これらの緊急課題に取り組まなければ、2030年の課題の達成は困難であろう。いたがって、児童の権利に関する条約から30周年は記念する、と同時に児童の権利の現実化へと公約を更新する機会なのである。

人類史に見られる戦争、征服、占領、服従の非人間的行為、人間としての尊厳を踏みにじる行為、人権の侵害、人身売買、臓器売買、などといった暴力や残虐行為にも関わらず、最善は人間として生きる状況をより良くするために努めることである、という直感がある。この直感は、受け入れられている倫理基盤を強化してきた。

より人道的な世界を築くという我々の決心と努力は、我々がいかに児童を扱うかによって示される。我々の倫理的義務は、我々がいかに最も脆弱な児童たちを扱うかによって評価される。

児童たちが忘れ去られないように、また犯罪者の手から守るために、我々は何をすべきか?児童たちを非人間的に扱う、また彼らの肉体的、感情的、社会的、宗教的誠実さを性的に虐待する人々から守るために、我々は何をすべきか?世界の指導者、政治家、ビジネスマン、宗教指導者、全ての決定者に対して、児童たちの生命の破壊ついて議論させるために、我々は何を主張すべきか?

現在のグローバル危機は我々を臆病にはさせない。意識の奇跡と良心の才能は、我々をこの星の何十億人の生命の奨励、その支持、またより良い状況へと誘う。

我々は人道主義を貫くためグローバル行動を起こす。人間が人間らしく生き、児童たちが安全であり、彼らの親たちも安全であり、彼らの隣人たちも安全であり、そして世界が今以上に安全であるために。平和とはその第一歩である。

Abstract

Title: An Overlapping Consensus on Global Ethics: The Moral Imperative of Promoting Life and Protecting Children

A brief reminder to provide this presentation with a context.

The UN Global Compact is a non-binding pact that encourages businesses worldwide to adopt sustainable and socially responsible policies and to report on their implementation.

The areas addressed are human rights, labor, the environment and anti-corruption.

It is a known factor that the ten principles of the United Nations Global Compact are derived from the Universal Declaration of Human Rights, The International Labour Organization’s Declaration on Fundamental Principles and Rights at Work, the Rio Declaration on Environment and Development and the United Nations Convention Against Corruption.

The firs5 two principles of the UN global compact are in the domain of human rights.

Principle 1: Businesses should support and respect the protection of internationally proclaimed human rights; and

Principle 2: make sure that they are not complicit in human rights abuses.

This presentation will focus on these first two principles as they relate to human rights and particularly children’s rights as this year 2019, we commemorate the 30th anniversary of the convention on the Rights of the Child.

Looking at our topic through the lens of the defining moment in our global history, it may be helpful for our purpose to note the following.

The most famous treaties in global history were ratified after horrible times of destruction.

1. 1648 the Treaty of Peace of Westphalia after an estimated 8 million were killed in religious wars.

2. 1918 the Treaty of Versailles which ended the First World War after an estimated 16 million people perished.

3. 1948 the Universal declaration of human rights after World War II and after an estimated 60 million people died.

We do not need another devastating war to come up with another treaty, declaration, convention.

This means there is a need to be proactive to mobilize religious leaders, religious actors and all people of goodwill, who take being human and humane seriously.

There is an urgent need to deliberately put in place communication and educational strategies to share with all people everywhere a love for life not death.

This concretely means to adopt, to embrace a global lifestyle characterized by the following:

1. A respect for all life

2. A global adoptions a culture of non-violence

3. A culture of solidarity and a just economic order

4. A culture of tolerance and a life of truthfulness

5. A culture of equal rights and partnership

6. A global culture of freedom of religion or belief. The common good is in fact a compound freedom. It presupposes freedom of thought, freedom of conscience and freedom of choice. It translates into freedom of expression, association and assembly. From a social perspective It is also freedom from violence, freedom of being harmed, hurt, or humiliated. It is freedom from being inflicted pain. It is freedom from being discriminated against, criminalized, persecuted because one believes differently.

7. A global culture in which freedom of conscience is protected. Conscience is a sacred space, an inner sanctum in the depth of the human person, the center of moral deliberations and decisions.

8. A global culture of Peace and the right to peace need the partnerships of all adherents of religions and philosophies of life according to our deepest values reflected in our oral and written traditions: respect and creative promotion of life, compassion and forgiveness, welcome and practice of hospitality to the migrant, displaced person, and refugee, nonviolence and harmlessness, faith, solidarity in our common humanity, respect for every person, freedom of conscience and love.

These are expressions of religious and moral imperatives the world desperately needs today.

Why act now?

In 2017, An estimated 65.6 million people were displaced from their homes. A vast number of these - almost 50 percent-were children and young people.

Migrants’ dignity is increasingly challenged in a world in which tribalism, ethnocentrism, nationalism, racism, religious intolerance (including government restrictions and popular hostility to the right to freedom of religion or belief) are widespread.

Climate-induced displacements generate massive and unprecedented movements of people in search of clement environments. To these are added the scourge of human trafficking, one of the worst forms of treating humans as objects or commodities. The horrors of organ trafficking go against what true humanity is all about.

It is not only a denial of dignity but a denigration of other people’s right to life.

Being in a situation of vulnerability never means having a diminished human dignity. This is a foundation for religious and moral imperatives.

For if vulnerability is an indication of lack of dignity then children would not be associated with dignity. A thought which would be sacrilegious in the etymological sense of stealing what belongs to the divinity.

Human beings is several religious and secular traditions are sacred. They are even called temples of the Holy Spirit. Children too are sacred. They should be be considered as fully human.

Today it goes beyond decency to even think about the fate of million of children subjected to violence, abuses, trafficking. This abject current reality deeply offends our humanity.

It crosses the boundaries of our sense of morality when children, the most vulnerable of the human family are violated in their integrity and dignity, trafficked, transformed into disposables and murdered.

According to a draft resolution focused on eliminating all forms of violence against children shows that currently an estimated 2 million children could be killed by violence from now until 2030.

“Today, nearly 50 million children have migrated across borders or forcibly displaced. Every day and in every region, these children face a variety of rights violations, from exploitation and violence to being separated from their families, detained because of their migration status and deprived of essential protections and services. These abuses constitute a grave human rights crisis.”

The Global Compact needs to deeply integrate and deliver actions on behalf of children

2019 marks the 30th anniversary of the UN Convention on the Rights of the Child and the 60th anniversary of the Declaration of the Rights of the Child.

The root cause of all these catastrophic ills are the legitimization of violence.

In archaic societies violence was part of communication tools to instill fear on anyone who would challenge he status quo.

In the Greco Roman world violence was part of the cult to the emperor. One can think about the munera, among which the gladiators fights, but also the midday executions stating unequivocally that brutality is a sign of the power of the emperor.

It took the advent of the modern world to delegitimize public violence. The public has no longer access to public executions, except in recent years where terrorist group stage their nefarious ideologies.

See my article “Religions and Moral Imperatives in Global Ethics at a Time of Unprecedented Mass Mobility.

Children should not be victims to any form of violence.

Every child ought to given opportunities to truly develop physically, mentally, morally, spiritually and socially in a healthy environment and in conditions of freedom and dignity.

Religious communities have the moral authority to challenge violence against children, especially when it is justified and condoned in the name of religion but also more generally.

The global community ought to explore and act to protect children and to translate its commitment to end violence against children into the reality of peace for children.

Children have the right to be safe and in peace.

Millions among them currently experience fears and harbor traumas of many kinds.

Care for child victims of displacement situations, human trafficking, and poverty is a moral responsibility.

This issue should belong centrally to the G20 agendas.

Without addressing these urgent issues for children, the 2030 Agenda is unlikely to be achieved.

Thus the 30th Anniversary of the CRC is an opportunity to take stock, celebrate and renew the commitment to the realization of children’s rights.

Despite the abysmal record of violence and cruelty in human history in terms of dehumanizing acts of wars, conquests, occupations, subjugation, trampling of human dignity and abuses of people’s rights, human trafficking, organ trafficking and other countless horrible acts, there is a deep intuition that the best in human experience is to work for the better of the human condition. This intuition has functioned as an undergirding accepted moral foundation.

The test for our resolve to build a more human and humane World significantly shows in how we treat children or allow children to be treated today.

The pulse of our moral imperatives is measured in how we as a human family treat our most vulnerable ones: children.

What are we going to do not to allow children to be forgotten and abandoned to religious and secular predators?

What are we doing to do not to allow depraved people to dehumanize children and sexually abuse their physical, emotional, social and religious integrity?

What are we going to urge world leaders, politicians, policy makers, business people, religious leaders and all decision makers to consider, discuss and creatively reverse the ride of death and destruction of the lives of the little ones, children.

The current global crisis of meaning should not intimidate us. The miracle of consciousness and the gift of conscience are worth the journey together to promote, life, to sustain life, and better living conditions of billions of people on our planet.

We work for a global movement with a humanizing mandate.

For when people live according to their authentic destiny of being human and humane, children are safe, their parents are safe, their neighbors are safe and the world is safer. Peace will have then be given a chance to be.