ご挨拶
G20諸宗教フォーラム2019京都会長
真言宗御室派管長、総本山仁和寺門跡
瀬川 大秀
21世紀になって以来、世界各地で顕在化した民族・宗教問題は言うまでもなく、これまで一枚岩になって行動してきた欧州諸国が独自路線を主張してEUの理想に影がさしはじめ、21世紀の覇権をかけた米中間の貿易・情報戦争が激化するなど、日本を取り巻く国際情勢が急激に変化しつつある中で、本年6月末に大阪でG20諸国の首脳たちが一堂に会してサミット(首脳会議)が開催されます。
しかし、各国の政治的指導者によって開催されるG20サミットの主要なテーマは、世界が経済成長をどう成し遂げるかということに主眼が置かれているので、宗教界としては、その前提を認めつつも、経済格差による貧困問題の恒常化、気候変動の悪化、苛烈なビジネス競争が招く人権侵害、急速に発展する生命科学や人工知能技術がもたらすこれまで十分考られてこなかった危険性などの課題点を提示したいと思います。
われわれ日本の宗教者も、現代社会が提起する様々な問題に対して、いかに責任ある応答をして行くべきかが社会から問われていますが、そのような中で、G20サミットに先立ち、世界各国の宗教指導者や国際機関の代表者たちと共に、6月11日と12日に京都でG20諸宗教フォーラム2019が開催されることになりました。
そこで、G20諸宗教フォーラム2019では、日本の宗教者が世界の宗教指導者や国際機関の専門家たちと共に考え、日本政府を通じてG20サミットにも提言し、その成果を社会に積極的に発信して、より良い世界を目指して行動してまいりたいと思います。皆様方のご理解、ご協力をお願いいたします。